鞄に使われる「素材」

人工皮革は、湿式ポリウレタン系で物性、構成、風合い、フイニッシュなどの点で、「天然皮革」を模倣したもの。米国のデュポン社が昭和38年に「Corfam」(コルファム)として開発したのが始まりである。
日本におけるこの種の人工皮革は、昭和39年にクラレが「クラリーノ」の開発を発表したときに始まった。
特徴は、①不織布をベースにしていること。②不織布及び表面ウレタン樹脂層に連結した微細な気孔が多数存在していること。

人工皮革

人工皮革も、革や合成皮革と同様に、ベースとなる不織布が「引張」及び「引裂き強度」並びに「伸び」の基になっている。
この不織布に使用する繊維は、ナイロン、ポリエステル、アクリルの3種でいずれも合成繊維である。

合成皮革には、基本的に2種類ある。
1.PVC ポリビニールクロライド、塩化ビニール
2.P U ポリウレタン              ※ 鞄業界では、塩ビ=PVC、合皮=PUを指します。

塩化ビニール(PVC)の特徴
1.皮革やPUより安い。
2.表面加工のバリエーションがPUより豊富にできる。
3.エンボス(型押し)の深いものができる。
4.PUより重い。
5.耐久性がある。
6.革ライクな物から、透明やエナメルなどいろいろな素材が可能。
基布の種類
①モス(モスリン=平織のスフ=レーヨン)
②9A(綾織のレーヨン)
③レーコット(平織の強力スフ、平織のポリエステル)
④不織布(SB=スパンボンド、ソンタラ=紙状不織布)
⑤PM#2000(綿フラノ=起毛タイプ)
⑥綿
⑦ナイロン
⑧T/R(テトロン レーヨンの混合糸)
⑨綿
⑩その他
合成皮革
合皮(PU)の特徴
1.表面タッチが滑らかで、PVCより暖かみを感じる。
2.軽くて丈夫。
3.色の発色性がPVCよりきれいで、皮革のような色の深みがある。
4.厚みの薄いものができる。
5.革のように使い込むほど味が出る物ではない。

基布の種類
①T/R(テトロン レーヨンの混合糸)
②綿
③T/Rや綿の起毛布
④ポリエステル
⑤ナイロン
⑥その他
合成皮革

ナイロン、ポリエステル、アクリルを三大合繊と呼ぶ。

ナイロン ナイロン NYLON ポリエステル アクリル
NYLON POLYESTER ACRYLIC FIBER
現在工業生産されている繊維の中で、最も強い繊維の一つ。摩擦や折り曲げなどに対しても非常に丈夫。 繊維の中で最も強い繊維の一つで、濡れても強さは変りません。摩擦に対しても同様です。合成繊維の中では比較的熱に強い繊維です。 保温性が良く、ふっくらと暖かです。
比重は1:14で、生糸の80%、綿の70%という軽さです。 毛よりも軽くて、かさ高い風合いがあります。
水に濡れてもほとんど水を吸わないので早く乾き、洗濯が簡単です。 吸湿性が少ないので洗濯しても伸び縮みせず速乾性あり。
弾力性に富み、しわになりにくい。 しわの回復性に優れているので型崩れしません。 羊毛と同様に弾性回復率が良く、しわになりにくい。
熱可塑性があり、伸び縮みや型崩れすることはほとんどありません。 熱可塑性があり、伸び縮みや型崩れすることはほとんどありません。
薬品、油に強く、海水にも侵されません。 薬品、油に強く、海水にも侵されません。
かび、虫の害を受けません。 かび、虫の害を受けません。
発色性に優れている。 発色性に優れている。
ピリング(毛玉)現象が出る。
耐光性はあまり良くない。 長時間日光にさらしても、ほとんど影響を受けません。
ポリエステル POLYESTER
繊維の中で最も強い繊維の一つで、濡れても強さは変りません。摩擦に対しても同様です。合成繊維の中では比較的熱に強い繊維です。
吸湿性が少ないので洗濯しても伸び縮みせず速乾性あり。
しわの回復性に優れているので型崩れしません。
熱可塑性があり、伸び縮みや型崩れすることはほとんどありません。
薬品、油に強く、海水にも侵されません。
かび、虫の害を受けません。
長時間日光にさらしても、ほとんど影響を受けません。
アクリル ACRYLIC FIBER
保温性が良く、ふっくらと暖かです。
毛よりも軽くて、かさ高い風合いがあります。
羊毛と同様に弾性回復率が良く、しわになりにくい。
熱可塑性があり、伸び縮みや型崩れすることはほとんどありません。
薬品、油に強く、海水にも侵されません。
かび、虫の害を受けません。
発色性に優れている。
ピリング(毛玉)現象が出る。
長時間日光にさらしても、ほとんど影響を受けません。

太さの単位(デニール)
9000mの長さで1gの重さの糸を1デニールとする。
9000mの長さを固定して、重さが2g、3gと増す毎に2デニール、3デニールとなる。
420デニールは、420gの糸を9000m引張った時の糸の太さ

合成繊維 ナイロン(NYLON)
歴史 米国のデュポン社の研究陣が発明。1935年に完成されて、1940年1月から工業化された。
日本では東レが1939年から研究を始め、1941年に紡糸に成功した。1951年から工業生産開始。
生産会社 東レ、旭化成、ユニチカ、テイジン、東洋紡、カネボウ
原料 石油。
石炭、とうもろこし穂軸、鯨油等からも作れる。
製法 アミド結合-CO.NH-によって長く連続した鎖状の合成高分子を紡糸したもので、ポリアミド系の合成繊維である。
溶融紡糸する。
現在工業生産されている繊維の中で、最も強い繊維の一つ。摩擦や折り曲げなどに対しても非常に丈夫。
比重は1:14で、生糸の80%、綿の70%という軽さです。
水に濡れてもほとんど水を吸わないので早く乾き、洗濯が簡単です。
弾力性に富み、しわになりにくい。
熱可塑性があり、伸び縮みや型崩れすることはほとんどありません。
薬品、油に強く、海水にも侵されません。
かび、虫の害を受けません。
発色性に優れている。
耐光性はあまり良くない。